【公明新聞6面 2024/12/1】本格移行がはじまる「マイナ保険証」


公明新聞の記事より
 12月2日から、現行の健康保険証の新規発行が停止されます。代わりにマイナ保険証を基本とする仕組みに本格的に移行します。改めて「普段の診療で便利になる」といわれるマイナ保険証のメリットについて、ファイナンシャルプランナーの大竹のり子さんに聞きました。

過去の受診歴など共有し患者の治療に役立てる

 マイナ保険証の利用は、いつもの通院から緊急時まで幅広い場面でメリットを多く持っています。

  1. データに基づき、より良い医療を受診
  2. 医療機関・薬局での受付が簡素化
  3. 手続きなしで高額療養費の利便性が向上
  4. 確定申告時の医療費控除申請が簡単に

という主に四つのメリットがあります。

 特に利用者にとって最も恩恵が大きいのは、自分自身の医療情報をまとめて管理でき、より良い医療を受けられることです。

 具体的には、過去に処方された薬の履歴や特定健診の結果といった情報を医師や薬剤師にスムーズに共有します。これにより、初めて受診する医療機関・薬局でも、飲み合わせの悪い薬の処方や検査の重複といったことを防げます。また、思いもよらぬけがや病気で、緊急搬送された時でも安心です。過去の医療情報を管理しているので、医療関係者に正確かつ早期に把握されて、救急活動に役立ててもらえます。こうした対応は従来の保険証ではできなかったことです。

 こうした情報をデジタル化した効果で「お薬手帳」を持ち運ぶ手間もなくなります。手帳に既往歴や副作用歴を記載したり、新しい手帳への引き継ぎも一切必要ありません。

カードを置きタッチで受付

 これまで医療機関や薬局の窓口で健康保険証と診察券をセットで提示することが基本でした。しかしマイナ保険証は1枚で済むケースもあるので手軽です。さらに受付の手続きも顔認証付きカードリーダーに、マイナ保険証を置き、タッチする簡単な操作だけで、診療受付が終わるため、とても便利になりました。

高額療養費の立て替えが免除

 高額療養費制度も利用しやすくなりました。同制度は高額な医療費を支払った際に、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分が患者に払い戻されるものです。

 これまでは原則として事前に「限度額適用認定証」を申請する必要がありました。しかし申請から、手元に届くまでに2~3週間かかることもあり、支払いに間に合わなければ、患者が窓口で一度全額を支払っていました。

 これに対してマイナ保険証は、こうした事前の手続きを不要とし、自己負担限度額を超える支払いは最初から免除されます。

医療費控除の申請が簡単に

 そして年度末の確定申告で行う医療費控除の申請も簡単になります。従来、申請するためには、医療機関・薬局で支払った医療費の領収証を保管・管理しなければいけませんでした。

 しかし、マイナ保険証を利用していれば、行政手続きのオンライン窓口「マイナポータル」からe―Tax(国税電子申告・納税システム)に連携することで、医療費を自動入力してくれます。その上で、医療費控除の申請をスマートフォンでもできるようになります。

従来の保険証は最大1年間、使用可能

 今月から「今、使っている保険証が使えなくなるのでは」との不安の声も上がっています。しかし、これは違います。現在、政府は最大1年間、従来の保険証を使えるようにするので安心してください。

 その上で「マイナンバーカードを持っていない」「マイナ保険証を登録していない」――という人には「資格確認書」が、健康保険組合など保険者から申請せずとも交付されます。こちらも提示すれば、今までと変わらず、保険診療を受けられます。


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