【2023/5/10 3面】普及すすむマイナカード


 「デジタル時代のパスポート」といわれるマイナンバーカード(マイナカード)。インターネット上で行政手続きを行う際の本人確認などに用いられる。マイナポイントなどの普及促進策が功を奏し、交付を申請した国民の割合は5月7日時点で76・8%に上っている。カード普及の意義について、マイナンバー関連の政府の有識者会議にも参加する武蔵大学教授の庄司昌彦氏に聞いた。

マイナカード普及の意義

 マイナカードは、顔写真付きでオンラインでも利用でき、健康保険証などよりも偽造しにくい。信頼性・安全性の高い本人確認手段として、デジタル社会の構築に欠かせないツールであり、さまざまなメリットがある【表参照】。

 かつて銀行は、短い営業時間内に通帳と印鑑を持参して取引するのが普通だったが、オンラインで本人確認する手段などを整えた結果、スマホでいつでも振り込みなどの取引ができるようになった。店舗に足を運ばなくても済むようになり、業務の効率化も進んだ。

 役所に足を運び、手書きの書類を提出することが必要とされてきた行政手続きも、マイナカードという本人確認手段ができたことで、足を運ばずともオンラインで可能となる。ほとんどの国民がカードを取得するようになったことで、そうした“誰もが、いつでも、どこでも”手続きできる環境の整備が加速し、生活の利便性向上と行政の効率化が進む。

口座ひも付けで災害時の迅速な給付も

 災害などの緊急時にも必要な支援が迅速に届くようになる。マイナンバーに口座情報をひも付けておくことで、義援金や給付金などをいち早く受けることができるからだ。

 コロナ禍での特別定額給付金では、マイナカードによる給付で混乱が生じたが、それは口座情報がひも付いていなかったり、マイナカードを活用した手続きが確立していなかったためだ。日常的にカードを扱うようになれば、こうした課題は解消される。

 マイナカードはとても厳しいセキュリティーが確保されている本人確認手段だ。このプラットフォーム(基盤)は厳格なルールの下で民間事業者も利活用できる。政府が行ったマイナポイント事業などにより普及が進んだことで今後、マイナカードを活用する民間事業者なども増えるだろう。

セキュリティーについて

■年金などの機微に触れる情報、カードに記録せず

 マイナカードには、税や年金などプライバシー性の高い、機微に触れる情報は記録されていない。そうした個人情報は省庁や自治体が個別に管理し、必要に応じて連携を進めるため、情報が芋づる式に知られるということはない。カードの情報を不正に取り出そうとするとICチップが壊れるなどの対策も講じられている。

 また、マイナンバーを含む情報は「特定個人情報」に位置付けられ、利用範囲などのルールが他の個人情報よりも厳しい。自治体でもマイナンバー関連の情報はインターネットにつながっていないパソコンを用意して、厳重に管理するなど、対策を徹底している。

今後の普及への課題

 不信感を抱える人たちの不安をどう取り除くかが課題だ。現在、マイナンバー関連の情報が行政間などでどのように利用されたかは、個人向けサイト「マイナポータル」で確認することができる。運用の透明性を高めるため、メールなど“プッシュ型”で情報を提供するといった取り組みが必要だろう。

 加えて、なぜマイナンバー制度やマイナカードが必要かを、しっかり訴えることも大切だ。超高齢化社会を迎える中で、行政や医療などの生活に不可欠な分野でも働き手が足りなくなる。免許返納などで、窓口に自力で来られない高齢者も増加する。行政の効率化やオンライン化を進めることが喫緊の課題だということを丁寧に説明していくべきだ。

公明が実現したマイナポイント、申し込み9月末まで

 マイナカード普及を後押ししたのが、カード取得者に最大2万円分のポイントを付与する「マイナポイント第2弾」だ。

 原則、今年2月末までにカードを申請した人が対象。申請が増える中、5月末までだったポイントの申し込み期限が9月末まで延長されている。

 ポイント申し込みはスマホや、市区町村窓口などの「手続きスポット」で可能。窓口に支援員を設け、申し込みをサポートする自治体も多い。

 公明党は、マイナカードの普及促進と、コロナ禍などで低迷した消費の喚起をめざし、マイナポイント事業の実施を提案。併せて、カードを活用した行政の効率化を各地で推進するなど、住民サービスの向上を進めている。


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