自治体総合フェア2026レポート


先日、東京ビックサイトで開催された自治体総合フェア2026に参加してきました。全国の自治体が抱える課題解決に向けた最新の取り組みが集まるこのイベントで、防災分野のデジタル活用が急速に具体化していることを肌で感じました。今回は特に注目した2つの取り組みをご紹介します。

防災DXの2つのキーワード:「発災直後のスピード」と「家庭への確実な伝達」

今回ご紹介する2つの取り組みには、共通するテーマがあります。一つは発災直後にいかに素早く動くか、もう一つはいざという時に情報が確実に家庭に届くか——この2点です。どちらも「デジタルを使えばできる」という段階から、「実際に使える形になってきた」という段階に入りつつあります。

①AIで災害廃棄物の発生量を数時間で推計|MS&ADインターリスク総研

被災直後の混乱をデータで乗り越える

大きな地震や水害が発生した直後、行政が直面する難題のひとつが「どのくらいのゴミが出るのか」の把握です。倒壊した建物や流された家財——こうした災害廃棄物の量を早期に把握しなければ、仮置き場の確保も、処理業者の手配も、復旧のスケジュールも立てられません。

MS&ADインターリスク総研が提供する「災害廃棄物量推計サービス」は、AI地震被害推定手法と住宅データを組み合わせ、発災後最短数時間で廃棄物の発生量を種類別(可燃物・不燃物・コンクリートがら・金属くずなど)に推計するシステムです。精度は全国250mメッシュ単位という細かさで、仮置き場の候補地を具体的に絞り込むことにも活用できます。

平時にも使えます。実際の災害を想定したデータをもとに、災害廃棄物処理計画の策定・見直しに活用することで、いざという時に机上の空論にならない実効性のある計画づくりが可能になります。推計結果は地図上で可視化でき、他部署との情報共有にも対応しています。

②空気清浄機や給湯リモコンが「避難してください!」と呼びかける時代|IoT家電を活用した防災情報伝達

防災行政無線が聞こえない問題をIoTで解決

「避難指示が出たのに気づかなかった」——豪雨の中では防災行政無線が聞こえにくく、気密性の高い最近の住宅では屋外のスピーカーの音が室内に届きにくいという課題があります。テレビのエリアメールも、スマートフォンを手元に置いていない高齢者には届きにくい場合があります。

この課題に取り組んでいるのが、神栖市・防災科学技術研究所・JEITA・シャープ・リンナイの5者による実証実験です。2026年3月に茨城県神栖市で実施されたこの実験では、市の災害対策本部から発信された避難指示が、各メーカーのクラウドを経由して家庭内の空気清浄機や給湯リモコンが音声でアナウンスするという仕組みが検証されました。

「警報が発表されています!」という声が、普段使っている家電から直接聞こえてくる——これなら、テレビを見ていない時間帯でも、スマートフォンを手放していても、確実に情報が届きます。さらに将来的には、住んでいる地区に応じて世帯ごとに異なる避難情報を流す「個別最適化」も視野に入れています。JEITAが主導するメーカーの垣根を越えたプラットフォーム「イエナカデータ連携基盤」が標準化されれば、さまざまな家電から一斉に防災情報を流す社会実装が現実のものとなります。

まとめ

今回の自治体フェアで感じたのは、防災DXが「実験段階」から「実装段階」へと着実に移行しつつあるということです。AIによる災害廃棄物の推計も、IoT家電を通じた避難情報の伝達も、技術そのものはすでに存在しています。あとは「導入する意思決定」と「市民への周知」をいかに進めるかです。

元プログラマーとして、こうした技術の可能性は誰よりも信じています。八王子市の防災力をさらに高めるために、最新の技術動向を議会でもしっかりと取り上げてまいります。

発災直後に廃棄物量をAIで推計するシステムと、家庭の家電から避難指示を伝えるIoT技術——防災DXの最前線では、市民の命を守る具体的な仕組みが着実に形になってきています。八王子市への導入に向けて、引き続き情報収集と提言を続けてまいります。

⬇️会場の近くでドラえもんウォークラリーが開催していたので、記念に1枚😆


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