会派で府中市の「心不全リスク検査」事業を視察に行ってきました!
「心不全」は、自覚症状がないまま進行することがある怖い病気です。府中市では、通常の健診に一つの血液検査項目を加えるだけで、無症状段階の心不全リスクを発見できる全国的にも珍しい自治体事業を実施しています。この先進的な取り組みを視察してきました。
目次
「心不全パンデミック」
府中市がこの事業を始めた背景には、日本有数の循環器専門病院である榊原記念病院(府中市内)の院長からの警鐘がありました。「将来的に心不全パンデミックが起こる」——この言葉が事業化の大きな契機となっています。
心疾患は高齢期における主要な死亡原因のひとつです。しかし心不全は、通常の健康診断や胸部X線、聴診では異常が見つかりにくく、気づかないうちに重症化してしまうケースが少なくありません。視察の場では、通常の健診では異常なしと判断されていたにもかかわらず、後述の「NT-proBNP検査」によって初めて重度の心不全リスクが判明し、緊急入院に至った実例も紹介されました。このことは、本検査の重要性を改めて実感させるものでした。
「NT-proBNP」検査とは
本事業の柱となっているのが、血液検査に「NT-proBNP」という項目を追加することです。これは、心臓に負荷がかかった際に分泌されるホルモンの副産物で、心臓の状態を示す指標です。
通常の血液採取で同時に測定できるため、受診者・医療機関双方の負担が少ない点が大きな特長です。対象者は府中市内の75歳の方が対象。実施体制は市内約83の協力医療機関で7月〜翌年1月に受けられる仕組みで、個別に受診券が郵送されます。
2年間の実績が示す「潜在リスクの多さ」
過去2年間の実績は以下の通りです。
| 年度 | 対象者数 | 受診者数 | 受診率 | 要精密検査者数 | 要精検率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 令和6年度 | 3,084人 | 1,449人 | 約47% | 423人 | 29.2% |
| 令和7年度 | 2,684人 | 1,252人 | 約47% | 392人 | 31.3% |
受診者の約3割に精密検査が必要なレベルのリスクが認められています。「自分は大丈夫」と思っていた方の中に、これほど多くの潜在的リスク保有者がいることは、非常に重要なデータです。
これまでは75歳の方のみ対象だったため、他の年代との検査結果の検証ができないことが課題でした。令和8年度からは対象年齢に65歳の方が追加されます。「予防啓発」という趣旨を最大限に活かすため、高齢者の入り口である65歳からアプローチすることで、10年間のリスク変化の把握や、より早期の生活習慣改善につなげることを目指します。

まとめ
厚生委員会の委員として、今回の視察から強く感じたのは「予防医療にこそ自治体が積極的に関わるべき」という点です。
重症化してから治療するのではなく、無症状の段階でリスクを把握し、生活習慣の改善や早期受診につなげる——この考え方は、市民の健康寿命の延伸だけでなく、将来的な医療費・介護費の抑制にもつながります。
八王子市においても、高齢化が進む中で予防医療の充実は喫緊の課題です。府中市のこの事業は、自治体・医師会・専門病院が三位一体で連携した先進的なモデルとして、ぜひ八王子市でも導入を検討すべき取り組みだと感じました。議会の場でも積極的に提案していきたいと思います。
心不全は自覚症状なく進行する怖い病気です。府中市の「NT-proBNP検査」事業は、受診者の約3割にリスクが見つかるという実績が示すように、多くの命を救う可能性を秘めた先進的な予防医療の取り組みです。八王子市への導入に向けて、引き続き取り組んでまいります。



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