2025年9月20日(土)クリエイトホール5階にて、国際的に活躍する音楽家であり、国際セラピードッグ協会を創設した大木トオルさんの講演を聴く機会がありました。
長年、捨て犬たちをセラピードッグとして育成し、人と動物が共生する社会を目指してきた大木さんのお話は、とても心に深く響くものでした。
目次
セラピードッグとは?
セラピードッグは、病気や精神的な問題を抱えた人々の心を癒すために特別な訓練を受けた犬たちのことです。単にかわいらしいだけでなく、彼らは高齢者施設や病院、教育現場、被災地などで、人々のリハビリを助けたり、心のケアをしたりする重要な役割を担っています。
大木トオルさんのセラピードッグたちの特徴は、「すべて捨て犬である」ということです。彼は、殺処分寸前の犬たちに新たな役割と生きがいを与え、その純粋な愛情が多くの人々を救っています。




音楽家からセラピードッグのパイオニアへ
音楽家として57年のキャリアを持つ大木さんは、なぜセラピードッグの活動を始めたのでしょうか。
それは、音楽を通じて様々な民族が集まるアメリカ合衆国で、「スポーツ」「音楽」「動物愛護」の3つが、すべての人々を一つにできる普遍的なものであると気づいたことから始まりました。
特にヨーロッパで学んだ動物愛護の精神は、大木さんの人生の大きな転機となりました。どんなに成功しても、どんなに裕福でも、世界では必ず「社会に何を貢献しているか?(ライフワークは何か?)」と問われる。そうした問いに対する彼の答えが、セラピードッグの育成だったとのこと。
30年前にニューヨークからセラピードッグを連れて帰国し、日本の動物愛護のあり方を変えようと活動を続けられています。
セラピードッグがもたらす「奇跡」
講演の中で、大木さんはセラピードッグがもたらす数々の感動的なエピソードを語ってくださいました。
- がん患者の延命: 「犬が来た途端、皆が笑顔になり、『生きたい』という気力を取り戻す。これは医者にはできないことだ」と、友人の医師から言われたそうです。
- 心身のケア: 認知症の患者さんが犬を抱きしめ、心が安定していく様子。人と人とのつながりが希薄になった現代で、犬の純粋な愛情を求める人が増えている現実を教えてくれました。
- 登校拒否の子供たち: 欧米では当たり前になっている「動物介在療法」。セラピードッグとの触れ合いを通じて、心を閉ざしていた子供たちが再び社会とつながるきっかけを得るケースは少なくありません。
大木さんの活動の原点となったのは、殺処分寸前だった雑種の女の子「チロリ」との出会いです。彼女は日本で初めてのセラピードッグとなり、多くの人々に希望を与えました。「チロリ」は、捨て犬でも人々の心を救えることを証明してくれたのです。
「日本の動物愛護は50年遅れている」
大木さんは講演で、日本の動物愛護の現状に警鐘を鳴らしました。
- かつて65万頭にも上った殺処分は減少したものの、依然として多くの犬や猫が殺処分されたり、行き場をなくしたりしています。
- 欧米では重犯罪とされている動物虐待が、日本では見過ごされてきた歴史があります。
- ドイツがナチスの歴史を隠さないように、日本もこれまで行ってきた殺処分の現実と向き合い、市民が主体となって動物を守るべきだと訴えました。また、ドイツは世界でも有数の動物愛護国だとも教えてもらいました。
最後に大木さんは、「小さな命を救えない国は、国も救えない」「八王子市を動物愛護のまちにしていきましょう」という言葉で講演を締めくくりました。
八王子市として、動物愛護センターを今後設置することを検討しています。動物愛護のために何ができるのか。これからも市としての取り組みに関して、皆さんと一緒に考え、行動していきたいと思います。




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