酷暑が続く中、本日、79回目の終戦記念日を迎えました。先の大戦で犠牲となられた内外の全ての方々へ謹んで哀悼の意を表し、今なお傷痕に苦しむ皆さまに心からのお見舞いを申し上げます。
荒廃した国土と極度の物不足、大切な人を失った悲しみの中で当時の人々がかみしめたもの――それは、人間性を根本から破壊する戦争は二度と起こさないとの誓いでした。過酷な現実の中から再出発した国民は、やがて奇跡的な復興を成し遂げ、そして今日、多くの若者がパリ五輪をはじめ世界各地で活躍する姿を見せています。平和を願う国民の汗と涙の戦後の苦闘の歴史、その延長線上に今日の平穏な暮らしの基礎はあります。このことを決して忘れてはなりません。さらに、わが国がたどったこれら復興・成長の軌跡は、苦難の歴史を歩んでいる国々にとっては希望の灯にもなり得ます。
ウクライナでも地雷除去に貢献
公明党は7月、マレーシア、ブルネイ、ラオスそしてカンボジアを歴訪、友好強化に向けた対話を重ねました。「いかに平和が価値あるものか。平和があって初めて国家の復興と繁栄が保障される」。カンボジアのフン・セン上院議長は、笑みをたたえ、力を込めて語りました。カンボジアは、内戦下で埋められた数百万個もの地雷被害に苦しめられつつも、国連平和維持活動など日本の地雷除去支援により被害を大きく減少させ、今では経済成長の道を力強く歩んでいます。地雷除去は、日本の特筆すべき平和貢献活動として世界に知られています。
そして、日本はカンボジアと共に、ロシアの侵略で苦しむウクライナ向けの人道支援と、ロシア軍が埋設した地雷除去で協力を始めています。わが国からは公明党の後押しで日本製の地雷探知機と除去機がウクライナに供与されました。しかし、ロシアのウクライナ侵略は約2年半近くが経過しています。私たちは双方の全戦闘行為の即時停止を求め、平和的解決に向けた国際社会の後押しを強く求めます。
さらに、中東でも広がる憎しみの連鎖を一刻も早く食い止めなければなりません。とりわけ、パレスチナ自治区ガザ地区では、激しい戦闘で子どもを含む死者数が約4万人に上り、医療品や食料の支援供給は滞り、病気や飢餓が急増するなど極めて深刻な事態に陥っています。公明党は、国連憲章が掲げる「紛争の平和的解決」の精神を崩壊させる暴力行為を強く非難し、イスラエルとパレスチナ自治区双方による停戦に必要な対話の場を設けることを求めます。
国際社会が混迷する中、核軍拡が進んでいます。長崎大学核兵器廃絶研究センターは、世界9カ国が保有する最新の核弾頭総数を計1万2120発と推計しました。ロシアや中国、北朝鮮だけでなく、英国やインドでも核兵器は増えています。しかも、ロシアによる「核の威嚇」だけでなく、イスラエルや米国でも紛争解決の手段として核兵器使用を正当化するかのような要人の発言が相次いでいます。私たちは強い憤りを禁じ得ません。
2026年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた、先日の第2回準備委員会で議長総括が発表され、核保有国に対し核戦力の透明性を高めることや北朝鮮の核・ミサイル開発に懸念が示されたことを評価します。
「被爆の実相」を若い世代と共有
公明党は明年に戦後80年を迎えるに当たり、「平和創出ビジョン」の策定を進め、核廃絶に向けた提言など人間の安全保障に基づく平和外交に積極的に取り組んでまいります。広島と長崎に原子爆弾が落ちたあの日、私たちはこの世の“地獄”のような光景を、この目で見ました。あのような苦しみを絶対に、誰にも、経験させてはなりません。そのためには世界で唯一の戦争被爆国だからこそ知る「被爆の実相」を今こそ世界の若い世代に伝え、平和への取り組みの機運をさらに高めることが必要です。各国指導者らによる被爆地訪問の促進などを盛り込んだ「ヒロシマ・アクション・プラン」を推進し、核兵器は絶対に使われてはならないとの大原則を強く訴えていかねばなりません。
公明党は、核兵器禁止条約の締約国会議へ党所属議員を派遣するとともに、日本政府に対してはオブザーバー参加を決断するよう粘り強く訴えていきます。
先の大戦の実体験が遠くなりゆく中で、不戦の誓いにリアリティーを吹き込むためには、政治、外交、経済、文化学術交流といったあらゆる対話の機会を通じて「平和を見える化」していく外交戦略が重要です。公明党は確かな平和と、人類の繁栄に貢献する国づくりに、まい進することをお誓い申し上げます。
2024年8月15日 公明党
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